「Aって何て読むんだっけ…?」
アルファベットを前にして、固まってしまうわが子の姿に、戸惑ったことはありませんか?
「うちの子だけ読めないのかも…」と不安になる親御さんも多いですが、実はアルファベットの読み方につまずく子は少なくありません。特に日本語の「50音」と異なり、英語特有の「音」と「文字」の関係が理解しづらいのが大きな原因です。
さらに、「ローマ字」との混同、「カタカナ読み」のクセ、フォニックス未経験、ディスレクシア傾向など、背景はさまざま。
大切なのは、「読めない理由」に気づき、子どものペースで“楽しく学べる工夫”を取り入れることです。
この記事では、「アルファベットが読めない子」に寄り添った家庭での練習法と、失敗しない教材の選び方を、保護者目線で丁寧に解説していきます。
アルファベットが読めないのはなぜ?原因を知ることが第一歩
アルファベットがなかなか読めないとき、「覚える努力が足りないのでは?」と思ってしまいがちですが、実はその原因はもっと根深いところにあります。子どもの“読めない”には必ず理由があるのです。まずはその原因を正しく知ることで、最適なアプローチが見えてきます。
読みづらさの原因は「音の理解」にある
子どもがアルファベットを読めない大きな理由は、「文字と音の関係がつかみにくいこと」です。日本語のひらがな・カタカナは、1文字に対して1つの音がほぼ決まっているため、小さな子でも覚えやすい特徴があります。しかし、英語はそう単純ではありません。
たとえば「A」は「エー」と読むこともあれば、「ア」「エイ」など複数の読み方が存在します。この音のバリエーションに混乱し、「覚えたはずなのに、いざ読むとなるとわからない」という状態に陥りやすいのです。
さらに、日本語のカタカナでアルファベットを覚えようとすると、「ビー」「シー」「ディー」など、実際の英語の発音とはズレた音が身についてしまい、正しい読み方とのギャップが広がります。
このように、「形」は覚えていても、「音」の理解が不十分なために読めない、というケースが非常に多いのです。
カタカナ読みが習慣になっているケース
英語に触れ始めた子どもたちが最初に身につけがちなのが、「カタカナ読み」です。たとえば「C」は「シー」、「D」は「ディー」と、日本語のカタカナで音を覚えてしまうことで、実際の英語の発音や単語の中での使われ方とズレが生じてしまいます。
このクセが定着すると、アルファベットを“記号”としては認識できても、英単語を読むときに「C=ク」「D=ドゥ」などの本来の音と結びつけるのが難しくなります。
つまり、「見たことはあるけど、どう読むのかがわからない」という状態になりやすいのです。
親としても、「シー」とか「ディー」と教えるほうが簡単なので、無意識のうちにこの“カタカナ式アルファベット”を使ってしまうこともあります。しかし、これが後の読み書きに大きな影響を与える落とし穴になるのです。
フォニックスを知らないまま覚えている場合
アルファベットが読めない子の中には、「フォニックス(Phonics)」という考え方を知らないまま学習しているケースもあります。フォニックスとは、文字と音の規則性を学ぶ方法で、英語圏の子どもたちはこの方法で読み書きを習得していきます。
たとえば「B」は「ビー」ではなく、「ブ(b)」という音を出します。フォニックスを使うと、アルファベットを“名前”として覚えるだけでなく、どんな音を持っているかを理解できるようになります。これが、単語を読む力やつづりを書く力の土台になるのです。
ところが、日本の英語教育ではこのフォニックスの指導がまだまだ少なく、アルファベットを“読むための道具”として扱わず、単なる「記号」として教えてしまうことも少なくありません。
そのため、「アルファベットは全部覚えているのに、catやdogが読めない…」というギャップが生まれてしまうのです。
視覚的認識や記憶力に苦手さがあることも
アルファベットが読めない背景には、「視覚的な認識力」や「記憶の働き」に個人差がある場合もあります。
たとえば、「b」と「d」、「p」と「q」など、形が似ている文字を見分けるのが苦手な子は意外と多く、頭ではわかっていても、読むたびに混乱してしまうのです。
また、一度見た文字をすぐに忘れてしまったり、前の日に覚えたはずの文字を次の日には忘れている、という「記憶の定着」が難しいケースもあります。これは単なる“やる気”や“集中力不足”ではなく、認知の特徴によるものです。
こうしたタイプの子どもには、**視覚・聴覚・触覚などを総動員した「多感覚学習」**が有効とされています。目で見て、耳で聞いて、手でなぞって覚える――そんな体験を重ねることで、読みの力は少しずつ育っていきます。
ディスレクシアなど発達の特性による場合も
アルファベットがなかなか読めない場合、発達特性が関係していることもあります。なかでも近年注目されているのが「ディスレクシア(読み書き障害)」です。知的な遅れがないにもかかわらず、文字の読み書きに特有の困難を抱える状態を指します。
たとえば、文字が「にじんで見える」「動いて見える」と訴える子や、何度教えても同じ文字を間違える子は、ディスレクシアの傾向があるかもしれません。
これは決して珍しいことではなく、小学生の10人に1人程度に見られるという調査もあります。
保護者として大切なのは、「できない=怠けている」と決めつけず、子どもの感じている“困りごと”に気づいてあげることです。特に、他の教科は問題ないのに英語だけ極端に苦手な場合は、発達特性の視点を持つことがサポートの第一歩になります。
「文字が動いて見える」と訴える子のケース
アルファベットの読みづらさを感じている子の中には、「文字がにじんで見える」「浮き上がって見える」「動いている気がする」といった表現をする子がいます。大人にはなかなか想像しづらいですが、これらの訴えはディスレクシアの特徴的なサインのひとつとされています。
実際にこうした子どもは、教科書の文字を追いづらく、すぐに目が疲れてしまったり、本を読みたがらなかったりします。周囲からは「集中力がない」「気が散りやすい」と誤解されることもありますが、本人にとっては見え方そのものが負担になっているのです。
このような場合は、無理に文字を読ませようとするのではなく、色付きシートや大きめのフォント、紙ではなくデジタル教材を使うなど、視覚への負担を軽減する工夫が効果的です。
気づかれにくい学習障害の初期サインとは
学習障害、特にディスレクシアのような“読み書きの困難”は、外から見えにくいために気づかれにくいのが特徴です。特に、小学校低学年のうちは「ちょっと覚えが悪いだけかな」と流されてしまいがちです。
しかし、以下のようなサインが複数見られる場合は、発達の特性が関係している可能性を視野に入れることが大切です。
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ひらがなやカタカナはすぐ覚えたのに、アルファベットだけ極端に苦手
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昨日読めたはずの文字を、翌日になるとまた忘れている
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アルファベットの順番がいつまでたっても覚えられない
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左右反転して書いてしまう(例:bとd、pとq)
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本人は「読めないこと」に強いストレスや劣等感を感じている様子がある
これらのサインは、「やる気の問題」や「練習不足」ではなく、学習スタイルのミスマッチによるものかもしれません。早期に気づいてあげることが、子どもの自己肯定感を守り、適切なサポートにつながります。
医療機関・専門機関でのチェックも選択肢
「なかなかアルファベットが読めるようにならない」「何か他の子と違う気がする」――そんな違和感が続く場合は、医療機関や教育支援センターなどの専門機関に相談することも選択肢の一つです。
たとえば、児童精神科、小児発達外来、または地域の教育相談センターでは、ディスレクシアなどの発達に関する特性について評価を受けることができます。必要に応じて、WISC検査(知能検査)などを通じて「読み書きのどこに困難があるか」を客観的に把握することが可能です。
もちろん、「病気」や「診断」がすべてではありません。ですが、困難の理由が見えることで、子どもに合った学び方や教材を選びやすくなり、親の不安もぐっと軽くなります。
「少しでも楽に、楽しく学んでほしい」と願う親心から、一度専門家に話を聞いてみるのも立派なサポートのひとつです。
家庭でできるアルファベット練習法とは?
「読めない理由」がわかったら、次は実際にどのように練習していけばよいかが気になりますよね。
家庭でのアルファベット練習は、学校のような“勉強”ではなく、「遊び」のような感覚で続けられる工夫がカギになります。ここでは、子どもの発達段階や性格に合わせて実践できる方法を、保護者目線で詳しくご紹介します。
まずは「音と形」を一致させることから
アルファベット練習のスタートラインは、「文字のかたち」と「音」をしっかり結びつけることです。
形だけを見せて暗記させても、実際に読んだり使ったりする力にはつながりません。
大切なのは、「Aってどんな音?」「Bってどんな形?」と、視覚と聴覚のリンクをつくることです。
そのためには、まずは以下のような遊び感覚のアプローチがおすすめです。
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アルファベットソング:リズムに合わせて音を覚える定番。歌に乗せると自然に記憶に残ります。
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フラッシュカードやカードゲーム:イラストや音声付きのカードを使って、「見る」「聞く」「声に出す」をセットに。
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粘土やブロックで文字を作る:手を使って形を再現することで、より深い記憶に残ります。
また、読みやすいフォント・大きめサイズの文字など、視覚的にわかりやすい教材を使うことで、形の認識もしやすくなります。
「文字は見るだけじゃなく、感じるもの」と考えて、全身で覚えるような工夫を取り入れてみてください。
アルファベットソングやリズム練習
子どもが自然とアルファベットを覚えていく方法として、最も手軽で効果的なのが「アルファベットソング」です。
ABCの歌に代表されるように、リズムやメロディに乗せて覚えることで、無理なく音と文字の並びが定着していきます。
特に英語に慣れていない子にとっては、静かな読み上げよりも、「A, B, C, D~♪」と歌うことで楽しさが増し、「学習」ではなく「遊び」の延長として受け入れやすくなります。
YouTubeやアプリでも、視覚的に楽しい映像付きのアルファベットソングがたくさん公開されています。映像と音、両方の刺激があることで記憶に残りやすくなるのもメリットです。
さらに、身体を動かしながら歌う「アクション付きソング」や、リズムに合わせて手拍子やジャンプをする活動も有効です。
体を動かすことで記憶が定着しやすくなるため、集中力の短い子どもにもおすすめの方法です。
文字をなぞる・触る・作る体験学習
アルファベットを「目で見る」だけではなかなか定着しない子どもには、手や指を使って覚える体験型の学習がとても効果的です。いわゆる「多感覚学習(マルチセンサリー学習)」と呼ばれる方法で、視覚・触覚・運動感覚を総動員して学びを深めていきます。
具体的には次のような方法があります:
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なぞり書き:点線やガイド付きのプリントで文字の形をなぞることで、線の流れと形を手に覚えさせます。
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粘土やお米、砂に文字を書く:触覚を活かした学習法。指先の刺激が脳を活性化し、記憶の定着をサポートします。
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アルファベット型のブロックやパズル:文字の“かたち”を立体的に認識することができ、bとd、pとqのような混乱しやすい文字の違いもつかみやすくなります。
こうした「書いて覚える」だけではない方法を取り入れることで、**アルファベット=楽しい!**という感覚も育ち、練習を続けやすくなります。
日常会話や生活に取り入れる工夫
アルファベットの練習は、机に向かう時間だけでなく、日常生活の中で“自然に触れる”ことがとても大切です。子どもは「勉強しよう」と構えるより、遊びや会話の中で自然と覚えていくほうが、無理なく学べるからです。
たとえばこんな工夫があります:
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おもちゃや食べ物のパッケージから文字を見つけてみる
「Aがついてるね!これは何て読むかな?」と一緒に声に出してみるだけでも、アルファベットへの関心が育ちます。 -
冷蔵庫や壁にマグネットやポスターを貼る
視界にアルファベットが入る環境をつくることで、無意識のうちに記憶に残りやすくなります。 -
お出かけ先でも文字探しゲーム
看板や駅の表示などからアルファベットを探す「街の中の宝探し」のようにして遊ぶのもおすすめです。
また、普段の声かけに「BはバナナのBだね」「Cはクマのクッキー!」などとちょっとした会話を挟むだけで、音と単語を結びつける感覚が育ちます。
日常の中で何気なくアルファベットに触れられる環境をつくることで、子どもは自然と「読めるようになる力」を身につけていきます。
おすすめはフォニックスベースの練習
アルファベットの読み書きに苦手意識を持つ子どもにこそ、フォニックスをベースにした練習法がおすすめです。フォニックスとは、「文字」と「音」のルールを学ぶ方法で、英語圏の子どもたちが実際に使っている読み方の基礎です。
例えば、「A」は「エー」ではなく「ア」、「C」は「シー」ではなく「ク」というように、アルファベットが持つ“音”に注目して覚えていきます。
このルールを知っているだけで、「cat」「dog」「pen」などの簡単な単語は、つづりを見ただけで読むことができるようになります。
日本ではまだ一般的ではないフォニックスですが、「読めない子のための練習法」として注目されており、学習障害やディスレクシアをサポートする教材の多くでも使われています。
次の見出しからは、フォニックスの基礎や効果的な練習方法について、さらに詳しく解説していきます。
音素認識トレーニングとは何か?
フォニックスを活用した練習の土台となるのが、**「音素認識(おんそにんしき)トレーニング」**です。
音素とは、言葉を構成する「最小の音の単位」のことで、たとえば「cat」なら、/k/・/æ/・/t/ の3つの音に分けられます。
この音素を「聞いて、区別して、組み合わせて、音読する」力を育てるのが、音素認識トレーニングです。英語圏の学校では、この練習が読み書きの基礎として必ず行われており、ディスレクシア傾向のある子にも非常に効果的とされています。
家庭でできる簡単なトレーニング例としては:
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「“cat”の最初の音は何かな?」→「ク!」(/k/)
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「“sun”は何音でできている?」→「ス・ア・ン」
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「“bat”と“hat”は何が違う?」→「最初の音が違う!」
といった音の遊び感覚で取り入れることがポイントです。これらの練習を重ねることで、文字と音の結びつきが強化され、自然と「読めるようになる」力が育っていきます。
多くの英語圏で導入されている理由
フォニックスが英語圏の教育現場で標準的に使われているのには、明確な理由があります。
それは、「音と文字のルールを理解していないと、英語の読み書きは成り立たない」からです。
英語は、日本語のように“1音=1文字”とは限らず、同じ文字でも音が変化したり、同じ音が複数の綴りで表されたりします。
そのため、単語を“丸ごと暗記”するだけでは限界があり、規則性を理解して“初めて見る単語”も読めるようになる力が求められます。
イギリス・アメリカ・オーストラリアなどの小学校では、読み書きの基礎としてフォニックスを段階的に指導し、
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単語を音に分解する
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音に対応する文字を知る
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組み合わせて読む・書く
という流れを通して、確かなリテラシー能力を育てているのです。
読み書きに困難を抱える子どもほど、この「ルール」に触れることが大きな支えになります。
だからこそ、家庭でもフォニックスの考え方を取り入れることが、アルファベット習得への近道となるのです。
フォニックス×多感覚のアプローチ例
フォニックスの効果をさらに高めるためには、多感覚(マルチセンサリー)アプローチを組み合わせることが有効です。これは「見て・聞いて・声に出して・書いて・触って」など、五感をフル活用して学習する方法です。
たとえば、こんな練習ができます:
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音を聞いて文字を書く:「ブッ(/b/)って音、何の文字かな?」→「B!」と答えて書く。
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砂やジェルマットに文字を書く:感触を楽しみながら、指先の刺激で記憶が深まります。
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音と絵を結びつけるカードゲーム:「CはCatのクッ!」など、視覚と聴覚を同時に使う。
こうした練習では、読み・書き・話し・聞くの全てを組み合わせるため、一つの感覚に偏らず、バランスよく学習できるのが特徴です。特に、書いて覚えるのが苦手な子や、動きのある学習のほうが集中しやすい子には非常に効果的です。
フォニックスを「頭で覚える」のではなく、「体で感じて、声に出して、楽しみながら身につける」ことが、継続のカギになります。
子どもに合う教材の選び方【比較付き】
いくら練習方法がよくても、子どもに合わない教材を使っていては思うような成果は出ません。大切なのは、「その子にとって使いやすい・楽しい」と感じられる教材を選ぶことです。
ここでは、市販のドリルやカード、アプリ、さらには発達特性に配慮された教材までを比較しながら、目的や子どものタイプに応じた選び方をご紹介します。
市販のドリル・カード・アプリそれぞれの特徴
市販のアルファベット教材にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴があります。目的やお子さんのタイプに合わせて選ぶことで、学習効果がぐんと上がります。
【1】ドリル:書く練習に最適
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アルファベットのなぞり書きや書き取りを中心とした教材で、文字の形をしっかり定着させたい場合におすすめです。
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ただし、書くことに苦手意識がある子には「つまらない」「面倒くさい」と感じさせてしまうこともあるため、取り組むタイミングに注意しましょう。
【2】フラッシュカード:音と形のリンクに有効
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文字とイラストを組み合わせたカードは、「A=Apple」「B=Ball」のように、視覚と音を結びつけやすいのが利点。
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単語を読む力にもつながるので、音読の導入としても活用できます。
【3】アプリ:楽しみながら反復練習ができる
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動きや音のあるデジタル教材は、集中力が続きにくい子でも夢中になりやすいのが魅力です。
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フォニックス機能や自動読み上げ、ゲーム要素が含まれているものが多く、「遊んでいたら自然に読めるようになった!」という声も多いです。
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ただし、使いすぎや「受け身」の学習にならないよう、保護者が内容を把握したうえで活用しましょう。
ローマ字ドリル・アルファベット練習帳の選び方
書くことに重点を置いた教材として人気なのが、ローマ字ドリルやアルファベット練習帳です。
ただし、目的に合ったものを選ばないと、「ただ書くだけで終わってしまう…」ということにもなりがちです。
選ぶ際のポイントは以下の通りです:
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文字の形がわかりやすいもの:太すぎず細すぎないフォント、大きな文字サイズ、ガイド線つきのものは、初めてでも書きやすいです。
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視覚的に飽きない工夫があるもの:イラストや色分けがあると、子どもの興味が続きやすくなります。
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フォニックスを意識しているかどうか:単なる“書き取り”ではなく、「その文字はどんな音か」「単語とどうつながるか」を意識した内容が理想です。
また、ローマ字ドリルを導入する際は、先に英語の音と文字の関係を学んでおくことが重要です。なぜなら、ローマ字は日本語の音をアルファベットで表すものなので、英語読みと混乱しやすいからです。
小学生には、「書くことで形を覚える」目的で使いつつ、フォニックス的な要素も意識した教材選びがベストです。
無料・有料アプリのメリットと注意点
最近では、アルファベット練習用のアプリが数多く登場しています。無料で使えるものも多く、「どれが良いのか迷う…」という声もよく聞かれます。そこで、無料・有料それぞれのメリットと注意点を整理しておきましょう。
【無料アプリのメリット】
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手軽に始められる
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試して合わなければすぐに変更できる
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基本機能(音声読み上げ・書き順確認など)がそろっているものも多い
【無料アプリの注意点】
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広告が多く、集中を妨げることがある
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機能が限定されていて、途中で行き詰まりやすい
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継続的な学習設計がされていない場合が多い
【有料アプリのメリット】
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学習ステップがしっかり設計されており、継続しやすい
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広告なしで安心して使える
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フォニックス対応や発音チェック、ゲーム機能などが充実している
【有料アプリの注意点】
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月額課金型や買い切り型があり、コスト面での検討が必要
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子どもが飽きない工夫がされているか、体験版などで事前確認を
アプリを使う場合は、必ず保護者が一緒に使って内容を確認し、子どもが“受け身”にならないよう工夫することが大切です。
「アプリ=便利ツール」ではありますが、最終的には“親子の関わり”が理解と定着を助けるポイントになります。
おもちゃ感覚で取り組めるフラッシュ教材
アルファベットの練習を「勉強」と感じさせずに楽しく取り組ませたいなら、フラッシュカードやおもちゃ型教材がおすすめです。特に幼児~小学校低学年の子どもには、“遊びの延長”として取り組める工夫が効果的です。
たとえば以下のような教材があります:
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アルファベット積み木・ブロック
文字を組み合わせて単語を作ったり、音に合わせて並べることで、自然と文字と音の関係を学べます。 -
絵カード+音声機能付き教材
「B=Ball(ボール)」など、絵と言葉を一緒に認識できるカードは、初めての英単語学習にも役立ちます。 -
光や音が出るインタラクティブ型玩具
ボタンを押すと発音が聞けたり、正解・不正解がリアクションで返ってくるものもあり、ゲーム感覚で楽しく覚えられます。
これらの教材は、「机に向かって書く」ことが苦手な子どもに特に有効で、「遊んでいたらいつの間にか覚えていた!」という体験につながりやすいのが特徴です。
子どもが飽きずに続けられる教材を見つけることが、「読めるようになる」ための第一歩です。
ディスレクシア傾向がある場合の教材選び
ディスレクシア傾向がある子どもにとっては、一般的なアルファベット教材がかえって混乱やストレスの原因になることもあります。
そこで重要なのが、視覚や音への配慮がされた専用教材を選ぶことです。
たとえば、以下のようなポイントを押さえて選ぶと効果的です:
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読みやすいフォントを使っている(gやaが分かりやすい形)
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色分けや太字、背景の色などで視認性を高めている
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1ページあたりの情報量が少なく、負担が少ない設計になっている
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音声や触感を使った「見る以外」の感覚にも働きかける内容
また、ディスレクシア支援に特化した教材としては、以下のようなものもあります:
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mpiの「フォニックス・キッズシリーズ」
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「触るグリフ(感覚統合型アルファベット教材)」
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タブレット対応の「Starfall」「Letterland」などのフォニックスアプリ
大切なのは、子どもが「できた!」を感じやすく、挫折しにくい設計になっているかどうか。
教材選びそのものが“サポートの第一歩”になることを、ぜひ意識してみてください。
文字の読みやすさ・フォント・カラー配慮がカギ
ディスレクシア傾向のある子どもにとって、文字の見え方そのものが学習のしやすさを左右する大きな要素になります。特に「フォント」「文字サイズ」「色使い」など、視覚的な工夫がされているかどうかは、教材選びの重要なポイントです。
たとえば:
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ディスレクシア対応フォント(例:OpenDyslexic、Lexendなど)は、文字の線に太さや傾きをつけ、上下左右の区別がしやすくなっています。
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文字の大きさは、少し大きめの方が読みやすく、目の疲れも軽減されます。
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背景に淡い色(ベージュ、薄緑、クリームなど)を使った教材は、白背景のギラつきを抑えてくれます。
これらの配慮は、読みやすさを向上させるだけでなく、「読むのが嫌だ」というネガティブな感情を少なくし、「読む=苦しい」を「読む=できるかも!」という感覚に変えていく助けになります。
教材にそこまでの配慮がなされていない場合でも、保護者の側で印刷時の背景色を工夫したり、ディスレクシア用フォントをダウンロードしてプリントするなどの対応が可能です。
触って学べる「触覚教材」が効果的な理由
文字を「見る」ことが苦手な子どもにとって、「触る」ことで理解する学習法はとても有効です。触覚を使うことで、視覚だけでは得られなかった情報が脳に伝わり、理解や記憶の助けになります。
たとえば:
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モールや粘土で文字を作る:手を使って文字を「作る」ことで、形と意味がつながりやすくなります。
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ザラザラや盛り上がりのある文字シート(サンドペーパー文字など):指でなぞることで、目と指の動きが連動し、読み書きへの意識が自然と高まります。
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アルファベットの型抜きパズルや積み木:パズル感覚で遊ぶうちに、文字の形を手に覚えさせることができます。
こうした触覚教材は、ディスレクシアだけでなく、注意が散りやすい子や、視覚処理が苦手な子にも効果的です。
さらに、触ることで「実感」と「達成感」が得られやすく、「できた!」というポジティブな体験が、子どもに自信をつけさせてくれます。
家庭でも簡単に取り入れられるので、ぜひ一度試してみてください。
「読む力」より「音のイメージ」を育てる方が先
アルファベット学習でつまずきがちな子どもに対して、最初から「読めるようにしよう」と焦るのは逆効果になることがあります。特に、文字そのものへの苦手意識がある場合は、読むことよりも「音の感覚」を育てることが先決です。
たとえば、子どもが「Dってどんな音?」と聞かれたときに、
「ディー」ではなく「ドゥッ!(/d/)」という発音のイメージが自然に浮かぶようになると、それが“読む力”の土台になります。
効果的なアプローチとしては:
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単語の頭文字と音を一致させる練習(B=バナナの「ブ」)
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音から始めて文字に導く(「ブって音、どんな形の文字かな?」)
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音を聞いて真似する「オウム返しゲーム」や、リズム遊びを通して耳を鍛える活動も◎
このように、文字を読むことにこだわりすぎず、「音からスタート」して段階的に文字とつなげていくことで、無理なく読み書きの力が育っていきます。
焦らず、子どもが「わかった!」「おもしろい!」と感じるペースを大切にしましょう。
保護者ができる家庭でのサポートとは
アルファベットの学習を支えるうえで、保護者の関わりはとても大きな力になります。特別な指導スキルがなくても、ちょっとした声かけや環境づくりの工夫だけで、子どものやる気や理解度はぐんと変わるのです。
ここでは、家庭でできる具体的なサポート方法を2つの視点から解説していきます。子どもが「読めた!」と感じる瞬間を、ぜひ一緒に育てていきましょう。
学習を「遊び」として楽しませる視点
アルファベットの学習をスムーズに進めるためには、「楽しい!」「もっとやりたい!」という気持ちを引き出すことが何より大切です。
そのためには、学習=勉強という構えをなくし、“遊び”の延長として取り入れる視点が効果的です。
たとえば:
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お風呂に貼れるアルファベットポスターで“ABC探しごっこ”
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ぬりえやスタンプで好きな文字をカラフルにデザイン
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冷蔵庫にマグネットを貼って並べ替えゲームをする
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文字かるたやカードを使って“神経衰弱”風に遊ぶ
このように、学習要素を感じさせずに楽しませることで、「できた!」「もう一回やりたい!」という気持ちが自然と学びにつながっていきます。
ポイントは、“正しさ”を求めすぎないこと。「間違えてもいいから、やってみよう!」という雰囲気をつくることで、子どもは前向きにチャレンジできるようになります。
正しく読めることより、楽しく触れることを重視
アルファベットの学習において、「正確に読めること」ばかりを重視すると、子どもはすぐにプレッシャーを感じてしまいます。
間違えたときに「違うでしょ」と否定される経験を繰り返すと、自信を失って「やりたくない」という気持ちに変わってしまうのです。
そのため、特に初期の段階では、「正しく読めるか」よりも「興味を持って触れているか」「楽しそうに取り組んでいるか」に注目してあげましょう。
たとえば:
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まだ読めなくても、カードを並べて遊んでいるだけでOK
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音を間違えていても、リズムに合わせて声を出せていれば大成功
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形がぐにゃぐにゃでも、自分で書こうとしていればそれが一歩
学習を通して大切なのは、「やってみたい」「おもしろい」「もっと知りたい」という前向きな気持ちです。
その感情を育てることで、自然とアルファベットとの距離が縮まり、やがて正確さにもつながっていきます。
「できたね!」をたくさん増やす声かけ例
アルファベットの練習をしているとき、子どもはちょっとした一言でやる気が出たり、逆に自信を失ってしまったりします。
だからこそ、保護者の声かけが“学習の続く・続かない”を大きく左右するのです。
ポイントは、「正解を言い当てたときだけ褒める」のではなく、過程や姿勢をしっかり認めること。
以下のような声かけがおすすめです。
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「おっ、さっきより上手に読めたね!」
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「“B”を自分で見つけられたの、すごい!」
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「間違っても大丈夫。チャレンジしてるのがかっこいいね」
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「さっきより声が大きく出せたね、えらい!」
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「もう1回やってみようって、自分から言えたのがすごいよ」
このような声かけは、子どもの中に“できた体験”を増やし、自信につなげていきます。
特に苦手意識がある子には、「できていないところ」より「できているところ」に注目して伝えることが何よりの支えになります。
アルファベット環境を自然に作るコツ
アルファベットを身近なものにするには、日常生活の中にさりげなく文字を“登場”させるのがポイントです。
いわゆる「環境づくり」ができると、子どもは無意識のうちに文字に触れ、「知っている」「見たことある」という親しみが生まれます。
たとえば:
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お風呂やトイレにアルファベット表を貼る
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冷蔵庫にマグネットで文字を並べるスペースを作る
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お出かけ先で「看板探しゲーム」をする(例:Sを見つけたら1ポイント!)
さらに、誕生日や名前のイニシャルを使った“自分だけのアルファベットグッズ”を持たせるのも効果的です。
「MはママのM!」「TはトモヤのTだね!」といった会話の中で自然に触れることで、子どもの関心が育っていきます。
子どもの成長に合わせた目標設定が大切
子どものアルファベット学習は、年齢や発達の段階によって吸収のスピードや得意・不得意が異なります。
だからこそ、「周りの子と比べる」のではなく、その子自身のペースに合わせた目標設定が大切です。
一度に全部覚えなくていい
A~Zの26文字を一気に覚えさせようとすると、子どもはすぐに混乱してしまいます。
まずは 3〜5文字ずつの“小さなかたまり” で学び、「読めた」「覚えた」という成功体験を積み重ねていきましょう。
たとえば:
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今日は「A・B・C」だけに集中
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明日は「D・E・F」…というように、少しずつ進めていく
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復習の時間をしっかり取ることで、定着しやすくなる
このように“少なく・繰り返す”学習が、結果的にもっとも効果的な近道になります。
「今日は3文字だけ」を積み重ねる意義
「たった3文字しかやってない」と思うかもしれませんが、子どもにとってはそれだけでも大きな努力です。
むしろ、「今日はこれだけやった!」という達成感を味わうことで、学習が習慣化していきます。
少しずつ、でも確実に進んでいる感覚を大事にしながら、毎日「できたね」を積み上げていくことが、将来的な学力の土台になります。
小さなステップで自信を育てよう
「読めた!」「当たった!」「できた!」
そんな小さな成功体験を繰り返すことこそ、子どもの自信とやる気を育てる最大の鍵です。
親が「今日はここまででいいよ」「十分がんばったね」と声をかけることで、「やればできる」という自己効力感が育ち、さらに前向きに取り組むようになります。
焦らず、1文字ずつ丁寧に積み重ねていくことで、子どもは“学ぶ楽しさ”を自然と身につけていきます。
まとめ|焦らず寄り添いながら読みの力を育てよう
アルファベットが読めない子に対して、「なぜできないの?」と焦る前に、その子なりのペースや感じ方に目を向けることが大切です。
音と文字の関係、学習スタイルの違い、そして何より「楽しい!」という気持ち――どれもが読みの力を育てる大切な要素です。
家庭では、正解を求めすぎず、少しの工夫とあたたかい声かけで、子どもの可能性はぐっと広がっていきます。
「読めた!」の一歩を見守ることが、きっとその先の英語学習の土台になるはずです。
焦らず、比べず、ゆっくりで大丈夫。
今日の“ひと文字”が、未来の大きな“ひとこと”につながっていきますように。

